
12月22日 ~ 1月5日
平成四年 冬至
様式美とリアリズム 冬至_二至二分四立の中で、夏至と冬至の二至はまさに季節ここに至れりという感がする。 陽の一等長い夏至と、最も短い冬至。それぞれに際(きわ)である。それを終りと採るか始まりとするか。...
時候に親爺想ふ
12月22日 ~ 1月5日
様式美とリアリズム 冬至_二至二分四立の中で、夏至と冬至の二至はまさに季節ここに至れりという感がする。 陽の一等長い夏至と、最も短い冬至。それぞれに際(きわ)である。それを終りと採るか始まりとするか。...
1月6日 ~ 1月19日
江戸に正月を迎える 小寒_寒の入りである。 「小寒の氷、大寒に解く」とあるように、小寒に水が凍ったのが大寒には解けると感じるほど、大寒よりもかえって小寒の方が寒さを感じることがあるというものだが、実際...
1月20日 ~ 2月3日
正月に旅する 姫はじめ 大寒_一年で最も寒さ厳しき頃であるが、三寒四温と言われる時期でもあり、やがて春の足音も微かにではあるが聞こえてくる。 正月に入り、新年に初めて行なうことを〝初〇〟〝〇〇初め〟と...
1月20日 ~ 2月3日
正月に旅する 姫はじめ 大寒_一年で最も寒さ厳しき頃であるが、三寒四温と言われる時期でもあり、やがて春の足音も微かにではあるが聞こえてくる。 正月に入り、新年に初めて行なうことを〝初〇〟〝〇〇初め〟と...
2月4日 ~ 2月18日
それは ないだろ! 古都再び 立春_春待つ頃ではあるが、暦だけは春となる。二十四節気は少しずつ季節を先取りする。 冬の中に梅の花を探しに行くことを「探梅(たんばい)」と呼ぶ。雪を被った梅を見つけられれ...
2月19日 ~ 3月5日
道徳は風 危険な遊び 雨水_春なのに冬である。冬なのに春でもある。そんな境界線のような季節を東風が吹いて、やがて季節をはっきりさせる。風は強くても弱くても、その空間の空気を変える。 今般、若者(馬鹿者...
2月19日 ~ 3月5日
道徳は風 危険な遊び 雨水_春なのに冬である。冬なのに春でもある。そんな境界線のような季節を東風が吹いて、やがて季節をはっきりさせる。風は強くても弱くても、その空間の空気を変える。 今般、若者(馬鹿者...
3月6日 ~ 3月20日
病気は病院で作られる 啓蟄_地中で育まれた生命力が、地上に出て蠢く時。 以前も書いたが、〝蠢(うごめ)く〟という字は、その成り立ちが「春に虫虫」とまさに〝啓蟄〟の「蟄虫戸啓/すごもりのむし と をひら...
3月21日 ~ 4月4日
色追い人 春分_太陽が真東から昇り、真西に沈む春分、太陽が沈む真西の彼方に極楽浄土があると古の人は信じた。 春分は彼岸の中日でもある。「寒さ暑さも彼岸まで」と云われるが、桜の咲いている最中に寒さが戻る...
3月21日 ~ 4月4日
色追い人 春分_太陽が真東から昇り、真西に沈む春分、太陽が沈む真西の彼方に極楽浄土があると古の人は信じた。 春分は彼岸の中日でもある。「寒さ暑さも彼岸まで」と云われるが、桜の咲いている最中に寒さが戻る...
4月5日 ~ 4月19日
あきつしまの花はさくら 清明—草木国土が清々しく明るい時候である。 今年の関東は、例年よりも気温が定まらず冷えた。 しかし、この〝花冷え〟のおかげで、例年よりも開花が早かった分だけ桜をより長く堪能でき...
4月20日 ~ 5月5日
なーんにも起こらない 五風十雨 穀雨_晩春の雨は穀物の恵みとなり、じきに田植えの備えが始まる。 この時候に特化したものではないが「五風十雨/ごふうじゅうう」という言葉がある。五日に一度風が吹き、十日に...
4月20日 ~ 5月5日
なーんにも起こらない 五風十雨 穀雨_晩春の雨は穀物の恵みとなり、じきに田植えの備えが始まる。 この時候に特化したものではないが「五風十雨/ごふうじゅうう」という言葉がある。五日に一度風が吹き、十日に...
5月6日 ~ 5月20日
空に泳ぐ鯉 粽の噺 立夏_今年も暦は夏となった。此方の老いと共に季節も移りゆく。八十八夜も過ぎ新茶を待ち遠しく思う。 九州の郷里の我が家では、子供の頃から「端午の節句」は粽であった。そし...
5月21日 ~ 6月5日
色好み寓話集 路頭の儀に業平が 小満_陽光が満々と降り緑萌える時候。 この五月十五日には四年ぶりに祇園祭、時代祭にならぶ京都三大祭りのひとつである『葵祭(正式名は賀茂祭)』の「路頭の儀」...
5月21日 ~ 6月5日
色好み寓話集 路頭の儀に業平が 小満_陽光が満々と降り緑萌える時候。 この五月十五日には四年ぶりに祇園祭、時代祭にならぶ京都三大祭りのひとつである『葵祭(正式名は賀茂祭)』の「路頭の儀」...
6月6日 ~ 6月20日
引越魔・画狂人 38回の顛末 芒種_穂先に棘のような芒(のぎ)を持つイネ科の穀物の種を蒔く頃。 今年は雨の日が多いためか、涼しく感じる日々である。 例年は六月一日の更衣まで、着物を袷から単衣に着替える...
6月21日 ~ 7月6日
シンボルに惑わされる 旅のゆらゆら 夏至_暦は夏に至る。と、同時に入梅の時期である。この梅雨の時期に花を咲かせるのが栗であることから、栗花落が〈ついり〉と当て字される。 この時期の季語に〈短夜〉がある...
6月21日 ~ 7月6日
シンボルに惑わされる 旅のゆらゆら 夏至_暦は夏に至る。と、同時に入梅の時期である。この梅雨の時期に花を咲かせるのが栗であることから、栗花落が〈ついり〉と当て字される。 この時期の季語に〈短夜〉がある...
7月7日 ~ 7月22日
澤瀉屋ッ! 遊女もねたり 小暑_梅雨がひと段落して、農作業に区切りがつく頃。白南風が夏を運んでくる。 六月晦日の〈夏越の大祓〉、七月二日〈半夏生〉、七日〈小暑/七夕〉、十日〈四万六千日/ほおずき市〉と...
7月23日 ~ 8月7日
わが憧れの隠居 空蝉/うつせみ 大暑_自分が外で降られるのでなければ、ひんやりとした空気を漂わせる夕立とその後の涼風が欲しくなる時期となった。 この時候の「大きく暑い」は何のヒネリもなくて、小暑・小雪...
7月23日 ~ 8月7日
わが憧れの隠居 空蝉/うつせみ 大暑_自分が外で降られるのでなければ、ひんやりとした空気を漂わせる夕立とその後の涼風が欲しくなる時期となった。 この時候の「大きく暑い」は何のヒネリもなくて、小暑・小雪...
8月8日 ~ 8月22日
本末転倒す 放生会のうなぎ 立秋_残暑の中、〈秋〉という字面を見るだけでも、夜が凌ぎやすく感じる時候である。 早朝、お茶を点ててベランダで呑んでいたら、空に白く朧な月が残っていた。〝朝行く月〟と呼ぶそ...
8月23日 ~ 9月7日
となりの球春 処暑_暑さが処〈落ち着く〉時候とあるが、もうそろそろそうあってほしいと願う時期ということか。 処暑の「処」の字は、人が几(肘掛)でくつろいでいる様を表現したもので[おちつく・すむ・やどる...
8月23日 ~ 9月7日
となりの球春 処暑_暑さが処〈落ち着く〉時候とあるが、もうそろそろそうあってほしいと願う時期ということか。 処暑の「処」の字は、人が几(肘掛)でくつろいでいる様を表現したもので[おちつく・すむ・やどる...
9月8日 ~ 9月22日
スモーキンブギ 姐や 白露_昼暖かく夜に冷えるこの時期は露が結びやすい。草の葉に結び、はらりと落ちてしまう水の玉、儚さが日本人の好みである。 この時期に日本中の野原に群れなして飛んでいたのが〝赤とんぼ...
9月23日 ~ 10月7日
あのー、注文は? 郷里の老舗 秋分_うかうかとしている間に、また季節の変わり目となった。「後(のち)の彼岸」の中日(ちゅうにち)でもある。 我が家代々の墓は遠く九州の田舎にあるのを言い訳に、墓参りをサ...
9月23日 ~ 10月7日
あのー、注文は? 郷里の老舗 秋分_うかうかとしている間に、また季節の変わり目となった。「後(のち)の彼岸」の中日(ちゅうにち)でもある。 我が家代々の墓は遠く九州の田舎にあるのを言い訳に、墓参りをサ...
10月8日 ~ 10月23日
サービスと給料はリンクする 春の画 寒露_白露の露が冷える寒露の季節となる。吹く風、冴え冴えと肌に触れ、金木犀の香を運び秋が濃くなる。 後の彼岸に深紅の花を咲かせていた曼珠沙華が、茶褐色に萎れて並んで...
10月24日 ~ 11月7日
ドジョウと共にあらん 十三夜お月様 霜降_これから冬にかけて早朝に地上に降る白い結晶体が霜である。露は葉先などに「落ちる」「結ぶ」ものであるが、霜は木々の根元などに固く「置く」「降る」ものだ。子供の頃...
10月24日 ~ 11月7日
ドジョウと共にあらん 十三夜お月様 霜降_これから冬にかけて早朝に地上に降る白い結晶体が霜である。露は葉先などに「落ちる」「結ぶ」ものであるが、霜は木々の根元などに固く「置く」「降る」ものだ。子供の頃...
11月8日 ~ 11月21日
阿修羅のごとく ブライトン・ミラクル 立冬_字面だけでなんだか寒々しく寂しげな心持ちとなる時候である。 寒さに部屋で縮こまっているのは親爺のみで、窓から覗く多摩川の河川敷では球児が走り廻る。 夏休みに...
11月22日 ~ 12月6日
親爺の咆哮 キャベツ好き 小雪_多摩川の向こうに鎮座する富士山の頂が白い。やがて下々の山にも雪が降りてこようという頃である。 旧暦の十月の別名は〝小春〟、寒い日が続く中にふと陽気の良い日があると、これ...