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藤圭子

昭和歌謡_其の101

よってらっしゃい お兄さん! 

『はしご酒』
by 藤圭子

 

嗚呼 痛恨の〝鼻歌〟

前回のコラムで私は、フジテレビの女子アナだか気象予報士だかが、3月初頭にたった1日、にわかに気温上昇し、コートも脱ぎたくなる陽気になったことを脳天気に喜び、トンマにも満面の笑みで「まさに春爛漫ですねぇ~」とお茶の間の老若男女に向かって口走った……のを、たまたま観ていて、「バッカじゃね、こいつ!」とばかりに、はなはだ上から目線で揶揄しまくったわけですが。

嗚呼、「どの口がほざきやがる?」でしたね。

同じコラムの後半に、「鼻歌を口ずさむ」という表現を何度か繰り返してしまい、例の口腔科ドクターの林に思いっきりドヤされました。何十年も文章を書いてきたプロが、「鼻歌を口ずさむ」なんて愚かな表現を何も考えずに使いやがって、馬鹿野郎、恥を知れ、恥を! というわけでしょう。

https://meaning-difference.com/?p=7842

イタタタ、こりゃ確かにね。鼻歌は鼻で唄うんだもの、「♪~フフフ~ン~♪」てな感じになるわけだし、歌詞を付けて〝小声で〟唱えば「♪~春の うららの す~み~だ川~♪」となるからして、これが正真正銘、口ずさむの実例でしょう。

いたく反省しましてね。慌てて当マガジンの主筆に謝りつつ、訂正&修正させてもらいました。

前回は、まさに恥の上塗りとばかりに、私の大学時代の恩師に説教された話まで披瀝してしまいました。怒涛だの紅蓮の炎だの、語調が良いからというだけの安易な発想で、本来の言葉の意味も解らずに慣用句を使いまくる行為は、「私の目の黒いうちは断じて許さねぇ!」とバチン! 思いっきり目の前の机を叩くほどドヤされた……と書きながら、「鼻歌を口ずさむ」ですからねぇ。何をか言わんや、恩師が化けて出て来ましょう。

林でなくても、真っ当な言語感覚の読者なら、とうに呆れ果てておられるでしょうね。この場で改めて謝ります。申し訳ありませんでした。

まぁ…………それにしても、

今年の気候は冬の異常な寒さから一転、春の訪れもまた極端に早いようで、わが家のある上州高崎は、朝晩の冷えはまだ残っているものの、昼間の気温は20度を超える日が、3月末頃から続いています。

まさしく春爛漫。「恥を知れ!」の私を皮肉るがごとく、例年よりメチャ憎らしいほど早く、この言葉がぴったりフィットする季節になりました。

東京はもちろん高崎でも、美しいピンク色の桜が満開に咲き誇り、あちらこちらで花飾りのアーケードの下、飲めや歌えの大はしゃぎ。

そうです。皆さんお待ち遠(どお)さま! 4年ぶりに〝ほぼ〟マスク無し、三密上等、……の、当たり前といやぁ当たり前の花見が帰って参りましたね。

テレビのニュース系のワイドショーでは、上野公園やら靖国神社、目黒川沿いなど、都内の桜の名所の〝大はしゃぎ〟ぶりの映像を連日流してますけれど、……どうもね、まださ、カメラの目線が優しくないやねぇ。コロナ禍が始まった頃に私自身さんざん嫌な想いをした、あの自粛警察っぽい「見せしめ」の匂いが随所に映り込んでいますもんね。

3月13日に、とりあえずという感覚でマスク着用義務は消滅しましたけれど、半月ほど経った今も、まぁ、まぁ、高崎も東京もびっくりするほど、ほぼ大半の老若男女が、スーパーやコンビニなどの屋内の店々はもちろんのこと、屋外を歩く時ですら、マスクを外しておりません。私のカミサンは「花粉症の季節だから、それの防備もあるんじゃない」と言ってましたけれど、実際のところ、どうなんでしょうかねぇ?

私は、コロナ禍の数年間の強制的かつ異常な習慣が、大なり小なりトラウマとなって、心理的に「マスクを外すのは危険なんじゃね?」という警戒の方向へ傾いているんじゃないか、と正直感じています。

花見はまだ屋外だからこその〝大はしゃぎ〟であって、巷の呑み屋はまだまだ客足が戻ったとは言えません。つい最近、私自身も、某所で団体客がドドドと店内に流れ込んで来る現実に遭遇した際、信じがたいほどビビってしまい、あわててマスクを着用しましたからね。嗚呼ナサケナイ。さぁて、いつになれば正真正銘、本当にコロナ禍前の繁華街に戻れるのでしょうか? もはやそれは無理な話なんでしょうか?

コロナ禍にウクライナ戦争が重なり、「これって便乗値上げだろ?」と感じる商品も多々ありながら、何もかもが値上がりしましたしね。まさに物価高! わが家の近くの大型スーパーで売られる惣菜などが、週替りで少しずつ少しずつ値上がりするのです。私はつい数日前にその事実に気づきましたが、去年の暮れ頃に比べて、好物のたこ焼きや焼きそばは、明らかに100円ほど高い値段を付けてます。

おまけに光熱費もメチャメチャ上がりましたしね。これじゃあ、まだまだ気楽に「ちょいと呑み屋で一杯!」っつー心持ちにはならないでしょう。

あの街、この街、呑み屋街

私はこのコラムで何度も記している通り、都内の最南端の歓楽街、蒲田の駅前で育ちましたから、日が暮れりゃあ、巷のあっちもこっちも眩いネオンが灯るのが、幼い頃から当たり前の景色でした。

そして数時間も経たぬうちに、「養老乃瀧」に代表される大衆居酒屋に焼き鳥屋にモツ焼き屋、酒場代わりのラーメン中華やスナックにナイトクラブ……さまざまな店々から酔客のはしゃぎ声や有線放送の歌謡曲が漏れ聴こえて来るのです。

昭和のど真ん中の時代、そんな都内の場末歓楽街の賑わいを、蒲田とは方向違い、足立、墨田、江東あたりの実在の地名を歌詞に折り込んで知らしめた歌謡曲に、『はしご酒』(昭和50年11月5日発売/作詞:はぞの なな/作曲:赤坂通)がありまして、藤圭子が唄って〝そこそこ〟のヒットを飛ばしました。

♪~人の情けが ひとしずく しみて苦労を 忘れ酒
昔恋しい下町の 夢が花咲く錦糸町
よってらっしゃい よってらっしゃい お兄さん

顔や姿にゃ ほれないが 男らしさにゃ しびれちゃう
そんな女(こ)がいる亀戸に 恋を平井にまわり道
よってらっしゃい よってらっしゃい お兄さん

飲めば飲むほど うれしくて しらずしらずに はしご酒
恋は小岩とへたなしゃれ 酒の肴にほすグラス
よってらっしゃい よってらっしゃい お兄さん

遊びじょうずな 人だから あなた 仕事を押上よ
金がなくても金町は させてあげますいい思い
よってらっしゃい よってらっしゃい お兄さん

男まさりの ママがいる 格子作りのいきな店
江戸の名残りの浅草は 木遣(きやり)くずしの酒の味
よってらっしゃい よってらっしゃい お兄さん~♪

皆さん、いくつの地名を見つけられましたか(笑)? 正解は7つです。

どうせなら、もっと歌詞に入れ込めば良かったのにね。〝こっち〟方向の呑み屋街は、まだまだありますよ~。林の出身地の亀有も入ってませんし、せんべろ(千円でべろべろに酔える)の聖地といわれる京成立石もスルー。ここ数年、私が時折足を運ぶのは、ラブホテルの聖地として有名な鶯谷の中華居酒屋ですが、ここも抜かされましたね。

「よってらっしゃい よってらっしゃい お兄さん」

店の入口で、店の美人ママや女将の声に誘われて、多少、鼻の下を伸ばしながら、ふらふら~と……、昭和時代には馴染みのそんな光景は、景気の良さのバロメーターみたいなもんで、数年ぶりの花見ではしゃぐ程度の令和5年の春、およそ夢物語でありましょう。

せめて私は、耳に心地良い藤圭子の歌声をBGMに、半世紀前の蒲田駅前の風景、アノ頃の呑み屋の賑わいを思い出しつつ、「本麒麟」の500mlの缶ビール(実際は安い発泡酒ですがね、味が気に入ってハマっています)をグイッと呑み干して……。

ふぅ~、旨いっ! 皆さん、お疲れ様です。

勝沼紳一 Shinichi Katsunuma

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