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吉永小百合&和田弘とマヒナ・スターズ

昭和歌謡_其の八十九

昭和の記憶は、セピア色なんかじゃない!!
   NHKの朝ドラ「カムカム・エヴリバディ」と歌謡曲(前編)

 『寒い朝』 by 吉永小百合&和田弘とマヒナ・スターズ

陽転反応

 前回、さしたる真っ当な理由もなく、当コラムの「新作」の更新を落としてし まいました。スミマセン^^;.

いや、真っ当ではないかもしれませんが、理由なら、ちゃんとある(あった)んですよぉ~。屁垂れな物書きなりの、屁垂れな理由というものが。

しかしながら、そんなチンケな理由なぞ、別掲の医療系コラムで、すっかり皆さんのお馴染みになりましたでしょう、高校の同級生であり、例の「お口のドク ター」林に言わせりゃあ、「で?ナニほざいてやがるンだ、貴様は?」の一言でバッサリ!! まさしくミモフタモナイまま、一刀両断でございます^^;。

ヤツと40数年ぶりに同窓会で再会して以来、私の公私ともども多岐にわたる、あまりの屁垂れぶりに対して、そりゃあもう、ゲップが出まくるほど繰り返し繰り返し叩かれ、どやされ、駄目出しされ続けて来ましたからね。ハイハイ、ヘェ ヘェ、これでも私……、反省だけは大いに、それこそ繰り返し繰り返し、して参りました。結果、ほんの僅かに、まさに屁垂れほどは、これでも【変わり】つつ、……あるんですけれどね。

私も林も、今年はジャスト60歳!! 還暦目前の〝この歳〟になっての猛省は、 私の心身に〝良い意味〟で多大な作用をもたらしたようでして。漢方薬やらサプ リメントにハマる連中が、必ずや一度は口にする、いわゆる【陽転反応】というヤツ……でしょうか? 心身から一気に毒素がドバババと出る証として、しばしの期間、かえって体調がすこぶる悪くなる──の一種と捉えておりますがね。

年末から猛烈なアレルギー症状が、私の全身の肌に出てしまいまして。いや生来、私は湿疹体質、今でいうアトピー体質ですから、特に肌が乾燥する冬の時期は、両脚の脛や膝の裏、臀部、首の周りに痒みの強い発疹が出るのです。ですから、大概の発疹症状には慣れ切っているのですけれど、顔や頭皮のあちこちにも、ドバババと発疹が拡がったのは生まれて初めての体験です。

ほぼ30年ぶりに皮膚科のドクターの世話になり、しょせん対症療法に過ぎませんけれど、痒み止めのステロイド軟膏とアレルギー止めの飲み薬を処方してもら い、現在に至る……のですが。まだ体の芯の部分に、何かしら痒みの元凶(アレルゲン物質)が残っているようで、顔の発疹はかろうじて収まったものの、首から 下の痒みと発疹は、弱いながらもまだ持続しています。

ただ不思議なことに、これも【陽転反応】の1つ、と断言しちまってよろしいでしょうか? わが禿げた頭にね、なんとまぁ、毛が生えてくれちゃった……んで すよ!! それも、自称【禿げナス君】を物語る、ナスのヘタの部分=前頭葉あたり……の髪の毛が、最初はうっすらと、次第に意外なほど力強くツンツンと、生えて来たのです。

どうやら妄想でも幻想でもなさそうです。でも、私も最初は信じられなくて、 カミサンに確かめてもらいました。該当部位を触ってもらうと、「あ、ホントだ!! 生えて来た、生えて来た」……失敬にもプッと吹き出しながら、驚いておりました。

スミマセン。話が脱線しました。冒頭に記した「屁垂れな理由」とは、アレル ギー症状の悪化でも、ハゲ頭に毛が生えたことでもなく、ちょいと、この「歌謡コラム」の他に、集中して書きたいブツがあったのです。

他ならぬ、小説なんですが……。かれこれ35年間、硬軟取り混ぜて(軟が多大ですが)さまざまな媒体の原稿を書き飛ばして来ましたけれど、こと小説だけは、 どうにもこうにも書き飛ばせないのです。平成4年に、花園乱のペンネームで官能作家としてデビューし、単行本を20数冊出してはいますが、嗚呼ナサケナヤ、 少しも腕が上達しないのです。「下手糞!!」、「下手糞!!」と、手前の書き上げ た原稿に、実際、怒鳴りつけながら、頭の中に描いたストーリー通りに、文字が運んで行かぬ、如何ともし難いもどかしさは、何度体験しても嫌なものです。逃げ出したくなるくらいに!!

いや、実際に5年ほど前に、本気で逃げ出したのです。「もう二度と小説は書くまい!!」「小説には手を出さない!!」……そう決めたはずなんですがね。

何の因果か? どういう神の啓示か? まったく予想もつかぬ方向から、私に再び小説を書かせるエナジーが飛んで来ました。それも猛烈な熱量と共に。

ジイドと洋次郎

何を隠そう、くだんの林が──、高校時代、その態度のデカさや言動の乱暴さ、 ガサツさに、同級生のほとんどが腫れ物を触るがごとく〝さりげなく〟接し、かく言う私は、理不尽にも体育の授業の合間、いきなり「バットを握ってそこへ立て!!」と命じられ、訳わからぬまま、豪速球を胸元高めに投げられ、球の速さが メチャ凄すぎて、ナサケナクもその場に尻餅をついた。その私に、「いいか、今の俺のボールを忘れるなよ!! これが本気の野球だ。優等生のオママゴトじゃ ねぇんだぞ。覚えておけよ」と、怒った風な表情で怒鳴った。──その林が、まさか、まさか、「二度と小説は書くまい!!」と決めた私の、冷たく固まった心根 を、温かい声で溶かし、翻して、くれたのです。

「お前の書く小説、イイじゃねぇか!! じつに面白いよ。何があったか知らん が、小説を書くことを封印するなんて、バカなことヌカしてるんじゃねぇ。この俺が許さねぇぞ!!」

40数年前、私に「いいか、忘れるなよ!!」と睨みつけながら命じた林の、〝こ の時〟の口調の乱暴さは、亀有育ちゆえに今更直らないものの、声のトーンがじ つにウエットで、本気で私の小説に〝感じている〟だろうことが、リアルに伝わって来たのです。いやぁ、嬉しかったですねぇ。

冗談抜きに涙が出てきました。私も過去、そりゃあ三文文士と言えども、まぁまぁ結構な数の編集者と知り合い、仲良くもなり、喧嘩別れもして来ましたけれど、ストレートに「勝沼さんの小説、良いですね。面白いです」なんて台詞は、 たったの一度だって吐かれた記憶がありません。

この場所で吐露することじゃないでしょうが、ハッキリ言いましょう。物書きにとって、それがどんな媒体のどんな作品でも、そのブツが〝読み手〟にとって、ぶっちゃけ「面白れぇじゃん!!」なのか? 「つまらねぇよ!!」なのか?  正直、関心があるのは、その二者択一のみです。他のシノゴノ能書きなんぞは、 要らん!! この理屈に、〝読み手〟のプロを自称する編集者も、素人の読者も違いはありません。……スミマセン、それが本音です。

それを、まさか高校の同級生の〝アノ〟林がねぇ。

実は、彼の名誉のために書き添えておきますが、林は〝ああ〟見えて(皆さん にどう見えているか? は知りませんが(笑))、幼少時代から猛烈な読書家だったそうでして。現在も完全に活字中毒!! 自分のクリニックへ通勤する電車内で、「何か文庫本を読んでないと、落ち着かない」そうな。

中学3年の夏休み、フランスの大文豪・アンドレ・ジッドの名作『狭き門』を 読んで感動した……んですって。そりゃ恐れ入りやした。ブツブツ……。

ちなみに、私の同時期の愛読書は、『青い山脈』で有名な石坂洋次郎の作品群 で、特に『寒い朝』の世界観に惹かれておりました。良い悪いじゃありません。 小説を読むという行為なんざ、多くの皆さんにとって娯楽の1つで結構なわけで すから、誰がいつ何を読もうが、大きなお世話です。

まぁ、理屈はその通りなのですが、『寒い朝』と『狭き門』……、この2つの小説の、立ち位置の〝差〟が、そっくりそのまま、現在の私と林の精神構造の出来 具合の〝差〟になっているように、私には強く感じられるもんでしてね。いやはや、読書体験というヤツは、まったくもって侮れません。

悔しいので、屁垂れな私の最後っ屁、ご年配の皆さんにはお馴染み、懐かしい流行歌を1曲、ご紹介しましょう。

『寒い朝』を原作とする映画が、日活で制作されました。吉永小百合&浜田光夫主演の『赤い蕾と白い花』(昭和37年6月2日公開/監督:西河克己/脚本: 池田一朗)です。その主題歌を、吉永本人と、当時、大ブレイク中のムード歌謡グループ「和田弘とマヒナ・スターズ」が熱唱しています。

(※映画主演時、吉永小百合の貴重な体操着&セーラー服姿が拝めます(笑))
https://www.youtube.com/watch?v=Hkdniv-5Gn8

(※〝ウン十年〟後の吉永小百合)

まぁ……、とにもかくにも、私は林のおかげで、「よっしゃ、もう一度、小説を書いてみよう!!」という気になりました。で、……現在も気合いだけは十分!! な のですがね^^;。

当ネットマガジンの主筆に「ごめんなさい。ちょっと小説に集中したいので、 しばしお暇を頂戴」と、勝手なお願いして、当コラムをお休みさせてもらったものの、その【集中】もナントヤラ。

ただただ連日ひたすら、うんうん、はぁはぁ、ひーひー、パソコンのキーボー ドを叩いては消し、叩いては消し、思い悩むだけ悩む……なかで、無為に時間だけが、日にちだけが、私の前から過ぎ去って行きました。結果、手前が目論んだはずの成果の十分の一ほどもクリアせぬままに、こうして〝次〟のコラムを書く頃合いと相成りました。

嗚呼、俺ってバカだよなぁ、ホントによ。……と、ここ数日、わが家のトイレの便座に腰掛けたり、風呂場の湯船に浸かったり……しながら、手前の馬鹿さ加減を愚痴りまくっております。〝そんな〟時に、私が思わず口ずさんでしまう昭和歌 謡の大ヒット曲がありましてね。

その種明かしがココから始まるのですが、毎度のことながら、長く書きすぎましてね。規定文字数超過!!ってことで、申し訳ありませんが【後編】に回させ ていただきます。

 

勝沼紳一 Shinichi Katsunuma

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