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バカに本当のことは通じない

昭和歌謡_其の十

「王様の耳はロバの耳」考

バカに本当のことは通じない

表題の文言は、十数年前に死んだ父が、まだ幼い私に、銭湯の湯船に浸かりながら、諭すように口にした台詞です。

生前、【本当のこと】など何ひとつ、息子の私にすら語ってくれず、最期は芝公園の草むらで野垂れ死にした父親が、生前、遺言がわりに息子への置き土産にした、唯一の【本当のこと】でしょう。

 今時の大人は、揃いも揃って、どうしょうもない嘘つきばっかりですね。

一国の総理からして大ペテン師なのですから、日本大学の理事会に巣食う、【脳ミソ筋肉】のオッサンどもが、揃いも揃って嘘八百、嘘八千、嘘八万を、何の羞じらいもなくほざいたところで、「何がいけねぇの?」ってなもん。まさに、蛙の面にションベンとは、このことです。

教え子であるはずの二十歳の学生が、あれだけ詳細なデータを列記し、まさに命がけで会見を行ったというのに、今日にいたってもなお、このあまりの無関心さは、異常としかいいようがありません。

それにしても、加害者であったはずの彼の言葉には、計り知れないほどの【重み】がありました。あの晩、TV画面を通じて、リアルタイムに会見に接した人は、皆さん、そう感じられたことだと思います。

その【重み】は何から生じるかといえば、「嘘をついていない!!」という、その一点ではないでしょうか。むろん、私は彼の知人ではありませんし、本人から直接この件に関して相談を受けたこともありません。まったくの赤の他人です。加えて、アメフトなど、まるっきり興味がありません。その私が彼の言葉を拝聴したところ、どう穿って捉えようとしても、真実のみを語っているとしか思えない、彼の眼差しの強靭さ、まっすぐな双眸の輝きに、感動すら覚えたのです。

「本当のこと」を語れば、おのずと言葉に【重み】がにじみ出ます。

一方、国会中継における総理の答弁、日大の学長やら、元アメフト部の監督やコーチの答弁。笑っちゃうくらいに、あまりに言葉が【軽い】でしょ?

日大の付属高校に通う生徒が、どこぞのTV局のレポーターにマイクを向けられ、こう答えました。

「イイ歳した大人が、嘘ばっかり。みっとない」

こんなことを、かりにも在校生に言わせちゃあ、その時点で教育者失格ですよ。学校の宝は、巨大マンモス大学だろうが、こじんまりした寺小屋だろうが、通っている子どもたちにほかなりませんから。いくら莫大な資産を誇りにしたところで、生徒・学生をないがしろにするような学校は、それこそ「潰せ!!」の一言です。教育機関として、存在させている意味も価値も感じません。

在校生たちが語る真実の言葉が、ちゃんと耳に届かないようでは、そんな学長や理事長は「裸の王様」に過ぎず、ギリシャ神話に出てくる『王様の耳はロバの耳』の教訓そのもの……、劇団四季のミュージカルの演目にもなっていますが、

♪〜王様の耳はロバの耳 それじゃなんにも聞こえない 聞こえやしない〜♪

二十歳の彼の会見を終わりまで観て、瞬間的に私は、上のフレーズを口ずさんでいました。いつの時代でも、どんな世の中でも、大人が隠蔽している「本当のこと」を一気にぶちまけられるのは、まだ汚らわしい大人の【常識】にまみれていない、純朴で真面目で、一本気な心根を持つ子どもたちだけです。

彼は誠心誠意、覚悟を決めて、日大アメフト部の指導者の悪辣ぶりを、「王様の耳はロバの耳」とばかりに、報道陣の前で洗いざらい披瀝しました。

聴いていた大人たちも、全員が全員、愚か者ばかりじゃありませんから、ちゃんと人間の耳を持つべき大人は、彼が語った真実に胸を痛め、涙を流した者も私ばかりではないでしょう。

ところが、真っ先に彼の語った言葉に、真摯に耳を傾けなくちゃいけない、大学の首脳陣が、どいつもこいつも【脳ミソ筋肉】揃い。まったくもっての【人でなし】。耳の構造がロバなのですから、まったく聞こえやしません。嗚呼、絶望的です。

「バカには、本当のことは通じない」

いまだに理事長が謝罪ひとつ、公にしていない事実こそが、みずから「俺はバカだ」と世間に触れ回っているようなものです(笑)。ロバの耳だからこそ、この期に及んでヘッチャラでいられるのです。

ロバを相手に、怒りをぶつけても仕方ない。いや、ロバというより、欲得で丸々肥え切ったブ……、これ以上はやめときましょう。

今回は、前回以上に前置きが長々しくなってしまい、スミマセン(^_^;)

「本当のこと」を語ることは肝要ですが、男女の色恋の駆け引きにおいては、あえて「嘘をついて欲しい」と望むシチュエーションもあったりします。昭和歌謡の大ヒット曲の中にも、その手の楽曲がいくつもあります。

男の嘘、おんなのうそ

フレンチ・ポップスのヒット曲(作詞:BARNES HOWARD/作曲:ROBERTSON DON)に、なかにし礼が日本語の歌詞を付け、菅原洋一が歌唱した『知りたくないの』(1965年発売)が好例でしょう。

 ♪〜あなたの過去など 知りたくないの
済んでしまったことは 仕方ないじゃないの〜♪

同じ、なかにし礼が作詞と作曲を担当した、ムード歌謡グループの老舗、ロス・インディオスの看板ソング『知りすぎたのね』(1968年発売)は、『知りたくないの』のアンサーソングのような内容です。

 ♪〜知りすぎたのね あまりにあなたを 知りすぎたのね 私のすべて
恋は終わりね 秘密がないから 話す言葉も うつろに響く〜♪

どうやら、なかにしは、男女の色恋には、ミモフタモナイ「本当のこと」など無用で、大人のウィットをベースにする、小洒落た【嘘】こそが真実!! と考えているようですね。

そんな、なかにし礼の世界観など、「あくまで男の身勝手さから湧き出る、くだらない妄想に過ぎない!!」と、異議を唱えたのが、女流作詞家の山口洋子でしょう。

中条きよしが唄って大ヒットさせた、タイトルも、そのものズバリ『うそ』(1974年1月25日発売/作詞:山口洋子/作曲:平尾昌晃)の歌詞には、惚れてしまった男が平気でつく【嘘】に、女はどれだけ傷つくか? そのあたりの切ない心理を、女ならではの視点で描ききっています。

 ♪〜折れた煙草の吸いがらで あなたの嘘がわかるのよ
誰かいい女(ひと)出来たのね 出来たのね
(中略)
僕は着物が好きだよと 熱い口づけ くれながら
冷たい嘘の つける人〜♪

バーブ佐竹は、あの顔で……(と書いても、若い世代の方はご存じないですよね(笑)。ご興味あれば、ネットで検索してみて下さい)……よりによって『女心の唄』(1964年12月発売/作詞:山北由希夫/作曲:吉田矢健治)という楽曲を大ヒットさせました。

歌詞に登場する女性は、なかにし礼が描きたい色恋同様、「本当のことは、あまり聞きたくない」というタイプのようです。

 

 ♪〜どうせ私をだますなら だまし続けて欲しかった
酔っている夜は 痛まぬが さめてなお増す 胸の傷〜♪

流行歌の世界は、男の作詞家が、「嘘八百の虚構の関係だからこそ、より一層、色恋は燃える!!」と主張し、女の作詞家が、「冗談じゃない!! そんなのは男のエゴそのもの。女はいつだって『本当のこと』だけが知りたいの」と訴える……。そのせめぎ合いで成り立っているのかもしれません。

余談ですが、かなり昔、とある芸能ゴシップ誌が、バーブ佐竹という歌手は、「淡谷のり子とディック・ミネの間に生まれた隠し子だ」という記事を載せたんですね。真実を聞きに、淡谷先生のもとに芸能レポーターが大勢、集まりました。

「淡谷さん、あの記事は本当ですか?」

訊かれた淡谷先生、烈火のごとく激怒して、

「冗談じゃないわ。バーブみたいな、あ〜んな、きったならしい顔の息子が、私とディックの間に生まれるわけないでしょ。バカも休み休み言いなさい!!」

あの独特の東北訛りでもって、こう答えたわけですが、さぁて、これは「本当のこと」でしょうか?

「イイ歳した大人が、嘘ばっかり」

この時の映像を観ていた、当時の子供が、そうつぶやいたかどうか? あの淡谷先生の耳にかぎって、まさかロバのはずが? ……と、私は信じたいですがね。

 

 

勝沼紳一 Shinichi Katsunuma

 

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