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克美しげる

昭和歌謡_其の106

「お彼岸の佳き日に、地獄界の責め苦を知る」

『片目のジャック』『さすらい』
『エイトマン』by 克美しげる

 

【此岸】と【彼岸】の遥か彼方に

いやはや、しかし今年の夏は異常に暑かった! ……まだ「暑かった」と過去形で語れないほど、今現在(9月19日・14時13分)、リアルタイムの高崎の自宅のリビングの、デジタル温度計は【35.4度】を表示しています。

どうやら今週土曜日の「秋分の日」前後から、急速に空模様が秋に移り変わり、気温もぐんと下がって行く……ようですね。暑さ寒さも彼岸まで、とは、昔の人は上手いことを言いますね。

毎年、春の春分の日、秋の秋分の日、2つの祝日を挟んで前後数日間の「お彼岸」は、天に召されたご先祖様が住まう【彼岸】の世界と、我々俗世の民が住まう【此岸】の世界との隔たりが、1年で2回だけ「最も近くなる!」んだそうで。

ふと見上げるとそこに、ご先祖様の○○がひょっこり、こちらを見下ろして、……さぁて笑っているやら? 怒っているやら?

例の「史上空前の性犯罪者」のジャニーは、いったいどんな表情で【此岸】の近くまでやって来ていることやら^^;?

などと、うっかり私は気安く書いてしまいましたが、嗚呼、こりゃ違う! 訂正! あちら岸も広うございまして、「お彼岸」にこちら岸のそばまでフラリと遊びに来られるのは、晴れて御仏の庇護のもと、極楽浄土の住人になれた皆様方だけでして^^;。

ジャニー同様、地獄に堕ちるべくして堕ちた虫けら同然の極悪人どもは、おそらくは来る日も来る日も、閻魔大王の厳しい監視の下、連射砲のごとく次から次へとわが身に訪れ来る猛烈、強烈、凄絶な責め苦にさいなまれ、生前【此岸】で破廉恥なまでに我欲を貪り続けた代償を、払わされていることでしょう。

先月の御盆の供養のあと、カミサン方の菩提寺の若住職と、人間の煩悩の悩ましさと、天国と地獄の関係について、興味深い話を説いてもらいました。

実は仏教の世界では、死者が生前、善行を働いたら天国、悪行三昧だと地獄、のような、単純な〝二者択一〟の考えは無い! んですって。

人は死ぬと四十九日の間、【此岸】と【彼岸】の間に置かれ、7日ごとに、天上界の汚れ役万事引受け部隊のトップ、閻魔大王による審判が行われます。

この審判、まずは死んだばかりの者を巨大な鏡の前に立たせるんですね。するとほどなく鏡に、そやつが生前、私欲にまみれ、衝動に駆られてヤラかしまくった、あんな罪、こんな罪、……たった1度、どうしても我慢できずに道ばたで立ち小便した、そんなことまで明瞭に映し出されるわけです。それを腕組みしながら閻魔大王は眺め続け、コヤツの刑期を吟味します。

そして7回目の最終審判、7×7=49日目に閻魔大王が下した命により、死者はようやく【彼岸】へ旅立てる……のですが、生前犯した罪の軽重によって、最下層の【地獄道】→【餓鬼道】→【畜生道】→【修羅道】→【人間道】→【天道】の6つの階層のどこかに強制的に導かれるんだとか。

これを仏教では六道(ろくどう・りくどう)と表し、それぞれの階層ごとに、わが身が受ける責め苦の凄絶さのレベルが異なるんですねぇ。【地獄道】の責め苦の一部を、のちほどご披露いたしますが、いやはや、どこぞのスプラッター・ホラー映画の映像など甘っちょろいと感じてしまうほど、怖ろしいです!

散々責め苦を受けて、「もう懲り懲りです!」「もう二度と悪事は働きません!」と訴え出ても、その訴えが本物か? 似非か? 閻魔大王は、もうね、完全に100%、ぜってぇ~に嘘を見逃さない、いや見逃してくれないので、よほどのことがない限り、上の階層に上がれることはなく、【地獄道】なら【地獄道】、【畜生道】なら【畜生道】、何度も何度も繰り返し繰り返し、輪廻のごとく責め苦を受け続ける……。これが六道輪廻の教えです。

晴れて【修羅道】を抜け出て【人間道】に上がれても、決して無罪放免になったわけじゃない! その証拠に、人間の命には限りがあるし、長生きすりゃ必ず老いるし、病気もする。これを【人間道】の四苦=生老病死と表す、と。【人間道】も、それ以下の階層と同じく、何度も何度も生と死を繰り返しますので、輪廻転生という言葉も生まれます。

私がまだ幼き日々、熱心な仏教徒だった母方の祖父チャンに、地獄絵巻という、たった1枚だけ絵を開き観ただけで、その場で卒倒しちまいそうな、世にもおぞましい「地獄のありさま」を教えられたものですから、おおよそ感覚的に、地獄の責め苦の残酷さは理解していましたけれど、

若住職が説いてくれた御託宣は、私の記憶の中にある幾つかの責め苦を、具体的に「ああ、それは【修羅道】での折檻ですね」と、理屈で〝固めて〟くれた格好になりまして、いやはや、ホント、怖ろしい。

今自分が人間でいることでさえ、その上の階層の【天道】には上がれなかった、【人間道】の住人ならでは責め苦である! と、妙に得心した次第です。

若住職いわく、

「私たち人間から煩悩が一切合切消えない限り、何度生き死にを繰り返しても、下の階層の【道】に堕落することはあれど、【人間道】の四苦、ないし、さらに4つ、愛別離苦(あいべつりく)、怨憎会苦(おんぞうえく)、求不得苦(ぐふとっく)、五陰盛苦(ごおんじょうく/五陰=五感)を加えた、まさに四苦八苦から逃れることは出来ますまい」

「われわれ坊主は、そこから必死に逃れようとして御仏の懐に飛び込み、慈悲にすがって、ようやく生き長らえる手立てを整えているだけのことで。そういう意味では、坊主はみんな卑怯ですね。四苦八苦とがっぷり四つに組むことから逃げたのですから。これも煩悩というわけです」

話の切りの良いところで、大きな「おリン(鐘)」をボ~~ン! と叩き、その、なんとも耳に心地良く、かつ胸の奥まで沁み入るような調べに、すっかり酔いしれてしまった私ですが……。

ただ1つだけ、妙な疑問が湧きました。天上界の6つの階層のうちのトップ、【天道】に導かれる人間って、生前、どんな徳を積み重ねた方なのだろうか?

いや、それよりもナニよりも、ぶっちゃけ、ぜってぇ~に人間の煩悩、微細な私欲をも見逃さない閻魔大王が、「よいぞ、よいぞ、お前は正真正銘【天道】の一員として認めてやる!」と、見事なまでのお墨付きを頂戴して昇天できる御仁は、ごくごくたまには、1人ぐらい、いらっしゃるのかいな?

気になったので若住職に訊きました。そしたらニコリと笑い、「いやぁ、私もまだ、あちらに一度も行ったことがないので、わかりませんねぇ」と煙に巻かれた後に、

「でもね。おそらくは、そういう人は、生きながらにして、すでに人ではない気がします。それはそれで怖ろしいじゃないですか」……かなり真面目な表情で、ぼそり。

ちなみに、六道の最下層【地獄道】では、具体的にどんな責め苦が実行されているか?

【邪婬】の責め苦

今、私は1人の、数年前に亡くなったジジイ……、くだんの調査委員会によって、「20歳頃から80歳代半ばまでの間、性加害が間断なく頻繁かつ常習的に繰り返された事実」は、「顕著な性嗜好異常(パラフィリア)が存在していたことを強く裏付ける」と言及されたジャニーが、生前の60数年間におよぶ、仏教でいう【邪淫の罪】により、現在、連日連夜、【地獄道】にて以下の責め苦を受けている……光景を想像しつつ、これを書いておりますが。

【衆合地獄(しゅごうじごく)】という責め苦があるようで、これは別名、堆圧地獄とも言い、【邪淫の罪】を犯した者が必ず受けねばならぬ折檻です。

牛の頭を持った牛頭、馬の頭を持った馬頭、2種の怖ろしい鬼(獄卒)によって支配された世界で、ここに堕ちた者は獄卒に追われ、山の中へと逃げるのですが、その山が両側から迫ってきて圧殺されちまうんですね。また運良く山から逃れて池に飛び込むと、それは池ではなく臼であり、杵を持った鬼に、ガンガン突きまくられ、ゴリゴリすり潰され、粘液状にされちまう。

もう1つ、生前、邪淫の限りを尽くした者ならでは、の折檻として、葉が刀になっている木々のてっぺんに美女(ジャニーの場合は美少年)がニッコリ微笑んで座っていて、その美少年を我が物にしようと、誰よりも早く木を登って行くと、幾つもの鋭い刃で体は頭のてっぺんから爪先までズタズタに切り刻まれ、あっという間に木っ端微塵にされちまう。

衆合地獄の1日は、私たち人間界の感覚だとおよそ2000年ほどに該当し、刑期はおよそ107兆年弱だそうで……。それでも、両親兄弟を殺したり、世話になった恩人や主君を殺したり、した者が堕ちる【阿鼻地獄】の、無期懲役とも言うべき無期限に続く責め苦よりは、「よっぽど軽いですね」と若住職。

いやはや、ジャニーは今、スライムのごとくネバネバの液体にされているのか? それとも鋭い刃で木っ端微塵にされているのか?

嗚呼、それでもきっと、目の前に好みの美少年が侍(はべ)ってりゃ、液体や塵芥(ちりあくた)にされた体でも、這いずり迫って「ユー、僕のベッドに来ちゃいなよ」と、……懲りないんでしょうなぁ。まっこと性癖は怖ろしい。地獄の責め苦よりも怖ろしい。

今回のコラムは、このあたりで文字量も「一杯」なんですけどねぇ。

なのに、……まだ歌謡曲の「か」の字も登場しておりません(笑)。なんということでしょう^^;。

というわけで、話の流れで、昭和歌謡の大スターのうち、ジャニー並みの極悪人! まず100%間違いなく、ジャニーが堕ちた【衆合地獄】よりも、階層的に下の下! 無期懲役刑の責め苦を受ける【阿鼻地獄】に堕ちたはずの歌手を1人、いや、コイツの犯した罪を考えりゃ、虫けら1匹と罵られて当然の野郎を紹介します。

鬼畜まっしぐら_克美しげる

だいぶ前に、一度ぐらいはコイツの話題に触れたことがありましょう。

人気に陰りが出て来た時に、女房子供がいる事実を隠して、あくまでカネヅル目的で交際した愛人(銀座の高級クラブのホステス)を殺害し、その遺体を自家用車のトランクに隠し、羽田空港の駐車場に停めたまま、数カ所ほどコンサートツアーが開かれる北海道へ旅立ち……。2日後、トランクから「何やら赤い液体が漏れている!」「なんか異臭もする!」と通報を受けた警察が調べた結果、事件が露見。車の所有者の割り出しから、克美は緊急逮捕と相成った。

事実だけ記すと〝こう〟ですが、ここに至るまでのコイツの、あまりに人非人的所業が、呆れるほど出て来る、出て来る……んですね。ご興味あればネットで拾って下さい。ジャニーズの新社長を引き受けた東山は、ジャニーを「まさに鬼畜の所業」と断じましたが、コイツも同様、鬼畜も鬼畜です。

そんな克美しげるですが、若い頃のブレイクは実に輝かしいものでした。

昭和36年1月に、洋楽のカバー曲『霧の中のジョニー』を唄い、東芝レコードからデビューします。これが40万枚の大ヒット! 同じく洋楽カバーの『片目のジャック』(昭和37年6月発売)も、当時、かなり流行ったそうです。

翌年昭和38年11月には、人気アニメ「エイトマン」の主題歌(作詞:前田武彦/作曲&編曲:萩原哲晶)を唄い、このレコードは全国の子どもたちを中心に売れまくり、克美の歌声は一躍、全国のお茶の間に浸透します。

♪~エイトマン エイトマン
ファイト ファイト ファイト ファイト ファイト
エイト エイト エイト エイト エイト

光る海 光る大空 光る大地
ゆこう 無限の 地平線
走れエイトマン 弾丸よりも早く
叫べ 胸を張れ 鋼鉄の胸を

ファイト ファイト エイト エイト~♪

さらに翌年には、洋楽カバーではなく、日本語のオリジナル楽曲の『さすらい』(作詞:十二村哲/作曲:北原じゅん)を吹き込んで、昭和39年1月25日に発売すると、即座に売れまくって60万枚の大ヒット!

♪~泣いてくれるな 流れの星よ
可愛い瞳に よく似てる
想い出さすな さすらい者は
明日の命も ままならぬ

遠い空だよ いとしい瞳
呼べどこだまは かえらない
恋は一度さ さすらい者が
男泣きして みる夢さ~♪

NHK「紅白歌合戦」にも2年続けて出場するほどの、スター歌手の仲間入りを果たしました。

所属事務所がナベプロこと渡辺プロダクションという事実だけでも、彼が如何にマスメディア的にも注目されていたか、判りましょう。昭和40年前後の芸能界においてナベプロは、大変な権力を誇っていました。ジャニーズ事務所なんて目じゃないくらいに。

上に3つほど音源を貼り付けましたけれど、……コイツの声が、なかなかグーで、聴き惚れてしまいます。悔しいですね^^;。当時の日本の流行歌手のレベルといいますか、音楽ビジネスにおいて、この歌唱っぷりなら、ナベプロでなくても放っておかないでしょうね。

一夜にしてドカンと売れて、スター歌手に祭り上げられて、周囲の取り巻きどもにはチヤホヤされて、銀座や赤坂の高級クラブのホステスたちにも惚れられて、……そりゃあ、この世の春をふんだんに満喫したはずです。

が、奢る平家もナントヤラ、数年後の昭和40年代なかばには、人気に陰りが見えて、地方のドサ回りばかりの仕事が増え、……おそらくはそれでも、スター歌手時代の生活を変える気になれなかったのでしょう。離れずに付いて来てくれた妻子だけを愛せば良いものを、

大金を貢いでくれそうなホステスを愛人にし、口八丁で騙しまくり、ホステスの実家や親族も巻き込み、あろうことか彼女の田舎で結婚式まで挙げて、さらにさらにカネをふんだくった挙げ句、とうとう騙しきれなくなっての殺害! それも遺体遺棄! それも車のトランクに放置! 「まさに鬼畜の所業」と言うほかはないでしょう。

刑務所の中では模範囚だったらしいですね。懲役10年の判決が、8年の仮釈放。これには被害者遺族はもちろん、マスメディアも「有名人の犯罪として世間への影響が大なのに、刑期が短すぎる!」と手厳しく叩き、シャバに舞い戻って来てからも、なかなか平穏な生活に戻せなかったようで。その後も覚醒剤でパクられたり、まぁ、いろいろやらかして、平成25年に75歳の生涯を閉じるのですが……、

晩年は埼玉県某所で、カラオケ教室の先生をやっていましたね。生徒の数は、意外なほど多かった、ようですね。それも、ほぼ女性ばかりだったとか。

余計なお世話ですが、どういう心境で、克美の生徒になるのでしょう^^;?

今回のラスト動画は、亡くなる数年前、TBSテレビの歌謡番組に出演した、唯一ネットに現存する、かなり貴重な克美しげるの歌声です。

勝沼紳一 Shinichi Katsunuma

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