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森光子

昭和歌謡_其の四十八

令和2年の応援歌

『東京下町あたり』


1年の運気を占う初夢……。皆さんは、どのような夢を見られましたか? そしてまた、その夢には、どのような〝意味〟が含まれていましょうか?

皆さん、謹賀新年でございます。令和時代、初めての正月を迎えました。

1年の運気を占う初夢……。皆さんは、どのような夢を見られましたか? そしてまた、その夢には、どのような〝意味〟が含まれていましょうか?

誰が言い出したのか? 詳細は知りませんけれど、はるか昔から、日本人が初夢を語る際、「その夢を見ると、1年すこぶる縁起がよろしい」とされているのが、一富士二鷹三茄子……。この手の謂れやエピソードは、当メルマガの主宰者がメチャメチャ詳しい〝はず〟ですので、私なんぞが、ネットの検索をしまくった程度で、しょせん【にわか仕込み】のイイ加減な薀蓄をひけらかすのは、あまりに野暮なので止めておきます。

ただ、ですね……。ワタクシごとで恐縮ですが、じつは私、ちょうどタイミング的には、全国各地の老若男女が、てんでに元旦の初日の出を拝んでいる……あたりの頃合いじゃないか? と思うのですが、生まれて初めてというレベルの、じつにじつにトンデモナイ!! いえ、ある意味、大層バチ当たりな夢を、見てしまったんですね。

お断りしておきますが、初夢というのは元来、年が明けて「初めての就寝」後……の、数時間後に見る夢、つまり、たいがいの方にとっては「1月2日の朝」起きた時に覚えている夢、だと、誰に教わったわけでもありませんが、物心ついて以降、私は【そう】信じ込んだまま、現在に至っております。

例によって小賢しく、ネットでちょいと調べてみると、【私の説】が主流のようですけれど、「大晦日の夜の就寝」後、新たな年の元旦にむっくり起き出し、覚えている夢を指す、という説。さらには2月の節分明け、暦の上では春到来である【立春】の朝、覚えている夢を指す、……これは鎌倉時代の歌人、西行法師が『山家集』に記した説だったりします。

要するに「○○に見た夢だから初夢」という、明確な取り決めはない!! んですね。各自、手前の【都合の良いように】解釈している、というのが実態なんじゃないですかね。

アイムゴッド

となれば、私が見た夢も、令和2年の初夢に【してしまって】も構わない……わけですかね? ふうむ、本音で言いますと、【してしまわない】方がよろしいような? 気もするのですけれど。

えーとですね、不愉快な想いをされる方がいらっしゃれば、先に謝ってしまいます。ゴメンナサイ!! じつは私、今年最初に見た夢の中で、神様になっておりました。

なぜか私、なんとも偉そうに、いわゆる『国産み』の神様である、伊邪那岐と伊耶那美の両命(みこと)──配下に、ずらりと居並ぶ神々の1人(人、ではないかな?)として、日本列島の中で、自分が専従で監視するエリアを【どこか1つ】選ぶための、重要な会議に参加している、という態(てい)……らしいのです。

色付きではなかったはずですが、しっかりと私の記憶に、リアルなビジュアルとして、今もなお焼き付いています。

ネット検索による「夢占い」の診断によると、夢に神様が現れることは、救いを求めている気持ちが強い状態であるそうな。そりゃそうだ。「苦しい時の神頼み」ですからねぇ。そんな程度のアドバイスなら、専門家に鑑定してもらう必要もありゃしない。

でも私は、神様に「救いを求めている」のではなく、「自分が神様になってしまった!!」わけで……、いろいろ調べてみたのですが、さすがに、そんな脳天気というか、バチ当たりな夢の診断は、どの「夢占い」サイトにも載っていませんでした。

まぁ、考えようによっては……ですよ。これまで、さんざん「苦しい時の神頼み」をし過ぎた結果、少しも御利益に与(あずか)れなくて、ですねぇ。その想いが暴発し、ついに臨界点を超えてしまい、だったら「いっそ俺が神になるっきゃないんじゃね?」などという、はなはだ不謹慎かつ畏れ多い、言語道断きわまりない妄想を、無意識の内に心の奥底に宿していた、とも言えます……かね?

さて、問題は【ここ】からです。

私は、自分の上司っぽい神様から、「ここを監視せよ!!」との厳命が下されました。でも私は、どうやらそのエリアが気に喰わないんですね。

「嫌ですよぉ~、あそこは。昔も今も、愚かで下品な輩ばかりが住まうエリアでしてね。ちょいと眺めてりゃ、すぐに判りますよ。あそこが、如何にどうしょうねぇ、人間の葛の吹き溜まり!! 掃き溜め!! みてぇな巣窟であるかが」

私の口調は終始、神様にあるまじきベランメェーでしたが、神様の懐は無尽蔵に広いらしく、そんな些細なことには一切頓着しない風でね……。私の発言を聴いた神々が、眼下にひろがる下界のうち、私が指差す【人間の葛の吹き溜まり】エリアを、興味深げに眺め下ろしている、その目の前で──、いったい何が起きたでしょう?

大通りのど真ん中あたりに、十字路がありましてね。その【右上】のブロックに、何やら、もの凄い人だかりがしています。理由は判然としません。とにかく鮨詰めの満員電車内のごとく、所狭しと老若男女の人間たちが揉みくちゃになっているのです。そこへ、前方から猛烈な勢いで、一台の、やたら縦に長いワゴン車? が、「右折」のウインカーを灯しつつ、走って来ました。

私を含め、周囲の神々は、ハッ!! と目を見張った直後、少しも速度を落とさぬまま、右へカーブを切ったワゴン車? は、曲がりきれず、あろうことか、そのまま鮨詰めの人間の群れに突っ込んだんですよ。

「あー、バカ野郎ッ!! だから言わないこっちゃない」

呆れ果てて髪の毛を掻きむしる、私をよそに、大勢の老若男女が倒れたまま起き上がれず、多くが死んでしまった……のです。

「御覧になって、わかったでしょ? こういう愚かしい連中ばかりが住まうエリアなんですよ。こんなところ、誰だって関わりたくないでしょうが」

私は憤懣やるかたない表情で、そう吐き捨てた途端、目が醒めました。

これは、吉夢でしょうか? 悪夢でしょうか? また、一体ぜんたい、どんな意味を持つ夢なのでしょうか?

吉兆どちらにせよ、なんだか怖ろしくなった私は、それ以上、考えるのを止めました。代わりに、にわかに湧いて来た胸騒ぎを抑えるべく、1曲の昭和歌謡を、結構な音量でかけ、メロディに合わせて、あえて脳天気に唄ったのです。

森光子の『東京下町あたり』

森繁久彌と並ぶ、昭和時代のトップクラスの名優、森光子が歌唱する、『東京下町あたり』(作詞:阿久悠/作曲:山下毅雄/編曲:川口真/1973年4月21日発売)という楽曲です。

これは、1970年2月4日放送分から連続ドラマ化し、途中、休止や単発のスペシャル版を挟みつつ、『時間ですよ 平成元年』(1989年10月10日~12月26日放映)まで続いた、TBS系列の超人気&高視聴率ドラマ、『時間ですよ』の挿入歌でもありました。

番組の立ち上げ期は、インスツルメンタル(歌唱なしのメロディのみ)だった番組のテーマ曲のメロディラインに、3(サード)バージョン(1973年2月14日 – 1973年9月5日)だけ、阿久悠が歌詞を(無理やり)載せて、歌謡曲に仕立てたのです。子供時代にコレを聴いた私は、いかにも朗々と明るい森光子の歌声に、えらく惹かれました。

 ♪~曲がりくねった路地に 人のこころが流れ
   忘れかけてたものを
   誰もが不意に 想い出して行く

   東京下町あたり 時の流れの中で
   泣くも笑うも裸
   何もかも人間は生きている

   なじみばかりの顔は 胸の中までわかる
   悩みあるなら そっと
   耳打ちしてよ 遠慮はしないで

   東京下町あたり 雨の降る日も風も
   人のこころは同じ
   何もかも人間は生きている~♪

阿久悠が書いた歌詞に描かれた【日常】は、私が生まれ育ったエリアにも似ていましてね。決して上品ではありませんし、人によっては、【人間の葛の吹き溜まり】と侮蔑するムキもありましょうが、

どっこい、住民のだれもが「阿呆じゃねぇか」と言うほど快活で、年寄りも子供も、心の奥まで裸同然、あけっぴろげにして生きている……そんな【空気】が、昔も今も〝おおよそ〟流れています。

ところが日本列島の大部分は、あらゆる事象において、息が詰まるほど窮屈で、何故か知らないけれど、やたら神経症なまでに、心情を鋭く尖らせなくては、生きていけないことになってしまった……ように感じます。

ストレス過剰で、身も心も「いっぱいいっぱい!!」になった時、私はこの楽曲を口ずさみたくなるのです。鼻歌交じりに歌詞の文句を【音】にして、口から外へ放てば、日本語は言霊ですから、きっと歌詞の通りの、なんとも和気藹々(あいあい)とした【空気】が、せめて自分の周りだけでも巡って来るような、そんな気がするのです。

令和2年がどんな世の中になるか? 今のところ、私にだって判りません。現実の私は、神様じゃありませんからね。いえ、それどころか、どちらかといやぁ、【神様になった私】が侮蔑した【葛】同然の人間──に近いでしょう。

だからこそ信じたいのです。これから始まる1年が、『東京下町あたり』の歌詞のとおり、たとえ大きな悩みを抱えても、大丈夫。「貴方は決して1人ぽっちじゃない!!」からね。そばにいる【誰か】が、かならず悩みを聴いてくれるはずですよ~、と。

そしてまた祈りたいのです。他ならぬ私が、ちゃんと【誰か】の悩みを聴いてあげられる……程度の、心の余裕を持った1年でありますように~、と……。

森光子の『東京下町あたり』

ネット検索などされて、ぜひ皆さんも聴いてみて下さい。(※こちらにアドレスを貼り付けたいのですが、どうもNGのようでして。スミマセン^^;)

ほら、なぜか不思議と、元気と勇気が湧いて……来ませんか?

 

勝沼紳一 Shinichi Katsunuma

 

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